戦略コンサルとか使ってみた話

就活こじらせてた時期に受けまくっていた職種。それがコンサル。外資系中心に10社くらい受けたわけですけど結局入社せず、はじめにインフラ、ついでIT系会社に転職しました。そんななか、前職は比較的大きめな会社だったこともあり、業務の中で戦略コンサルな人たちに一定期間お会いする経験もさせてもらいました。「有り得たかもしれない自分の未来」を見れるかもしれないという期待もあり、結構真面目にMTGで発言していたりしたのですが、その実態はどうだったのか。ちょっと振り返ってみたいと思います。最近、就活とはなんぞや、みたいなあまり具体性のないことばかり書いてきましたんで、もうちょっと下世話で特定の会社を煽るような社会人にあるまじき文章、悪くないかなと。

  • コンサルトとの邂逅の話

一時期事業計画系のチームにいたことが有り、そこでは複数のコンサルを使って勉強会やらディスカッションやらをやっていました。同時にってわけじゃないけど、経営層への提案書の草案作りみたいな意味合いで、わりと短期間に2社お願いしました。ほかの会社がコンサルをどう使うのかはわからないけど、少なくともうちのチームはこう。で、一つはボストンコンサルティンググループ(BCG)、もう一つはデロイトトーマツコンサルティング(DTC)でした。どちらもまあ5〜6人くらいのチームでして、実際に資料づくりなど手を動かしているのは若い2〜3人。ポ人ションとしてはコンサルタント・アソシエイトと呼ばれる人です。

  • DTCがかなり微妙だった話

実際にやってみると、週次で出してくる資料やディスカッションの内容にかなり差があることに気づきました。圧倒的にDTCが低い。はっきり言って、最初の2週くらいはマジでググったら出てくることばかりでした。先方は「はじめにファクトベースで全体感を云々」と言っていましたが、ちょっとこれはないよなーと思いましたし、実際上司からもその旨お伝えしました。いやはや、雲行きが怪しいぞ。ただ、これには複数の理由があるようにも思えました。
一つは彼らの経歴。パートナーとかが提案書持って営業かけるわけですけど、そこにはチームメンバーの経歴とか書いてあるんですね。DTCの場合はほとんどが事業会社出身でした。今回我々がお願いした事業領域はかなり特殊性があり、あんまり詳しく説明するのは避けたいんですが、言うなれば「知恵袋にはなるけど議論をリードできない・してくれない」というかんじ。構造的な欠陥を抱えざるを得ない会社の出身の方々だったんですね。そんなのコンサルになんねーじゃんという指摘もあるかと思いますが、まさにそのとおり。一番まともだったのは商社でM&Aやってたおじさんでしたね。少なくとも議論は建設的だった。
そんで二つ目。これはもう、純粋にお金の話です。この2つのコンサルティング契約、どっちも僕が稟議作ってまして金額とか丸わかりなんですけど、そりゃもう、同じような期間・人数なのに3倍弱お値段が違うんですね。もちろんDTCがBCGの3分の1。そりゃあ、クオリティに差がついてもしょうがないかななんて。DTCの議論や資料がうん千万の価値があるとは全く思いませんが、確かにBCGの3分の1と言われれば「そんくらいかも」って妙に納得できてしまうのが悲しい。

  • BCGは凄くガッついてたという話

就職活動をしていた時分、最後までコンサルというものの全体像が見えなかったように思います。インターン(あ、外資ではジョブとかいうんでしたっけね)ではいろいろ議論してパワポ作って発表して、フィードバックもらっておしまい。でもこれって中の人に面倒見てもらう以上の何者でもなくて、お客さんはどんなふうに介在するのか見当がつかなかったのよね。で、結局「なんかかっこよさげ」以上の感情を抱けずにいたんだけど、今回図らずも顧客サイドから彼らの仕事ぶりを眺めることができました。
詰まるところ、コンサルの仕事は「ひたすらに提案し、その提案で客を導いてあげる」ということなのかなと。まあコンサルティングという言葉そのままではあるけど、それがなんというか実感を伴ったんですよね。ああ、これかと。もちろん客だって馬鹿ではないので、提案されたことをそのまま鵜呑みにするわけでもありません。というか、方針や主張は事前に決定していて、それを強化するためにコンサルの持ってくる最終成果物の方向性を誘導(捏造?)することだってある。ただ、その辺も全て把握した上で議論をリードしてくれるのが客としても気持ちの良いコンサルティングなんでしょうね。
その意味でBCGは凄くガツガツしていて、次から次へと新しい資料と主張を持ってくるし、その中でこちらが取捨選択すると、次の週にはそこから発展したいくつもの調査がまとまっていて…みたいな。ああ、こりゃプロだなとは思いましたね。実のところ、経営会議で使うプレゼンの膨大な参考資料に流用してやろうという目論見でスタートしたコンサルティングだったのに、最終的に何個か彼らの主張が本番の方にも反映されてましたから。それに比べるとDTCはちょっと(いや、かなり)物足りませんでしたが。

今はどんなもんなんだろうね。

  • コンサルにはあんまり情報見せたくないという話

クオリティの差こそあれ、BCG・DTC共にかなり長時間の議論を重ねたわけですが、特にBCGの方で怖いなと思ったのが情報流出の話です。彼らは次々にいろんな調査資料を提示しては「AだからB!」みたいな主張を繰り広げる。で、そのグラフが結構興味深かったり、痒いところに手が届くものだったり…その意味ではうん千万払っただけはありました。ただ!よくよく考えると恐ろしいのが、明らかに外部に出てくるはずもない他社の貴重な固有データが、匿名化された上で平然と出てきてるわけね。競合であるところの僕らのコンサルティング資料に。これって逆もしかりで、あんまり美味しい資料を彼らに見せちゃうと、良い示唆は出てくるかもしれないけど他社にも丸見えになっちゃうんじゃないの?なんて。なのでいくつかの重要な顧客データはあくまで社内で弄りました。
そういえば、コンサルの選考でもそのへんが気になってて「同じ業界の複数社にコンサルしたらまずくないですか?でも、そこでの成果を積み上げて再利用するのはコンサルとしての殆ど唯一のアドバンテージじゃないですか?ここ矛盾してません?」みたいなことをよく聞いていたことを思い出しました。大抵は「競合に同じチームが入り込むことはない」だとか「リソースは特定されない形で保管する」だとか「そもそも数年経った知見は陳腐化してるから問題なし」とかが答えだったけど、どれも本音じゃねーよなと今なら思います。もうね、ふつーに美味しく再利用してるじゃない、と。

byよしたにさん なんか立ち読みしちゃう不思議

  • 長くなったから続きは来週という話

なんかとりとめもなくなってきたから、今日は一旦ここまでにして、気が向いたら続きを書こうかな。就活の情報を集めにこのブログを読んでいる人がいたら、事業会社社員から見たコンサルって意味で少しは役に立つと嬉しいです。就活終わって働いてる人にとっては、コンサルって結局こんなことやってたんだとか、こんなふうに見られてるんだとか、まあそんな感じで読んでもらえると幸いです。
そんじゃ〜

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