受験を終わらせたくない、という気持ち

2月1日という日付はふとした時に、子供の頃の強烈な記憶を伴って思い出されます。所謂中学受験の大一番です。もはや15年も前の話ですが、なんだかんだで当時のことは結構しっかり覚えています。あの頃の記憶で、小学校6年生の2/1ほど鮮明なものはないんじゃないかというくらいです。
当時の僕は某中学受験専門の進学塾に通っており、父親に殴られながら勉強に勤しんでいました。今考えると信じられないくらいのストイックぶりで、大晦日紅白歌合戦でも知っている曲がモー娘の「LOVEマシーン」しかないという状況でしたね。よくいじめられなかったよな、とも思いますが、それは僕がわりかし足が速かったからでしょうか。学校の授業は塾の3周遅れくらいに感じており、つるかめ算できないとか、コイツらこの先大丈夫なのかな」などと真面目に思っていましたっから、普通に考えればアウトでしょう。僕だったら嫌ですもん、こんなクラスメイト。

このセンスはわからんなー
それはさておき、この中学受験において2/1当日の他にもめちゃくちゃ印象深かった思い出があります。不思議と、今でも時々思い出すのですが、あの時の感情はなんだったんだろうなと思うときがあります。それは2/3の夜でして、第一志望校の合格を両親と小学校の担任に報告に行った時のことでした。受験は平日に行われるので、僕は2/1から2/3まで休んで試験を受けており、第一志望の合格をその日の午後に聞いたばかりでした。当時の僕としては、受験について担任の先生にお世話になったとは思っていませんでしたので、まあ自慢というか、偏差値高めの中学に受かったことを褒めてもらいに行くような気分だったと思います。
職員室につき、ひととおり両親が合格の報告をすると、周りの先生も何人か寄ってきて、お祝いの言葉をもらったことを覚えています。その後父親が、卒業まで間もないですが、明日からはまたよろしくお願いします的なことを言ったんですが、まあ小学6年生の僕にとっては不思議でならなかったわけですね。実は翌日以降の2/4・2/5にもそこそこレベルの高い学校に出願していたので、当然その学校も受けるつもりでいたからなのですが。
「いや、うけたら絶対受かるんだから、○○も△△も受けるよ」みたいなことを言ったんだと思うのですが、両親にも担任の先生にもいろいろと諭されました。それこそ「第一志望に受かったんだから、あとは遊べばいいじゃない」とか「その学校に受かったら、その分落ちて悲しむ子がいるよ」とか。まあ今考えればその通りなんですけど、当時はそれが全然受け入れられないというか、何言ってんだこの人たち、としか思えませんでした。
テレビもゲームも放課後に遊ぶのも我慢してこの数日の試験のために勉強してきたんだから、いまさら2〜3日多く遊ぶよりも合格の喜びをできるだけ多く享受したいという感覚。犠牲にしたものの多さを思うと、第一志望と滑り止めの計2枚の合格通知じゃ全然足りない気がして、せめてあと何個かは有名中学の合格という「証拠」が欲しかったんですね。

ちまきは…したことなかったな。塾講のバイトでは巻いたけど
結局は2/4から普通に小学校に登校し、すぐに卒業だったんですけど、確かにこれでもかというほど遊び回った記憶があります。同じように中学受験してた子達とつるんで、小学生ながら12時をまわるまでゲームし続けたりとか(まあ、みんな夜ふかしは慣れっこでしたからね)しかもそのゲームが当時既に数年遅れだった初代ポケモンだったりとか、悲しくもあるちょっとしたサイドエピソードです。
そうして中学に入り、勉強というものを一切拒否した結果大学受験に失敗し、大学院で学歴ロンダリングを試み、安定した会社に新卒で入社するも辞めて博士課程…というのが僕の半生なわけですが、思い返してみても小6の2/3の夜というのは興味深いターニングポイントだったように思えてなりません。あの時もう何校か納得いくまで試験を受け続けてたらどうなったんだろうと、未だに思いますからね。あの気持ちがどこから湧いてきたのかは全くもって謎ですから「子供って不思議だな」と思います。単に意固地になっていただけかもしれませんが、仮に大学受験で東大受かってたら、そこから早稲田とか慶応とか受けようと思わないよね普通。
なので中学受験、今となっては良い思い出でしたけれども、自分に子供が出来たらあれをやらせるかというと結構疑問です。少なくとも殴られるのとか嫌だったし、毎週のように試験があって順位が発表されて、それがひたすら続くというのはかなり精神的にキツイものがありました。僕は比較的子供っぽかったから問題がなかったのかもしれませんが(こんな心の闇を綴るブログを続けている時点で疑義がついてもやむなしとは感じております…)繊細な少年少女であれば性格ねじ曲がっても仕方がないような。そもそも、僕の場合は2/1の第一志望に合格したから良かったものの、これで落ちてたりなんかしたら本格的に病みますよ。それこそ一足先に厨二病に罹患してしまいますよ。
さて、そんなこんなで、それぞれの努力がそれなりに報われ楽しい中学生活が始まることを願ってやまない2/1の夜なのでした。いやー僕も年をとったなぁ。

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