内定率への違和感



大卒予定者の就職内定率59.9% 過去2番目の低さ


来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)は59.9%と、文部科学省厚生労働省が18日発表した。過去最低だった前年同期(57.6%)を上回ったものの、過去2番目の低さ。前年度は、最終的な就職率も過去最低の91.0%だった。文科省は「わずかに光が差したが、依然厳しい状況」としている。

http://www.asahi.com/business/update/1118/TKY201111180116.html

10月時点で6割ってのは果たしてどんな意味を持つのだろうか。うーん。このあたりのスケール感は今一つかめない。しかもこの調査って特定の大学から学生抽出しただけでしょ?高々数十校で聞き取り調査したからって何になるというのでしょう。ま、定点観測することには意義があるか。

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でもね、僕にはこの「内定率」ってのがどうも信頼がおけないような気がしていまして。だって率なんだもん。「求人倍率」とかもそうだけどさ、学生の数も毎年変わるし企業の求人数も違う。そんなのを単純に比較できるんだろうか。「内定率」は就職希望者における内定者の数なんだよね?だったらこの数字の変動要因は

  • 企業の内定者数が変化している
  • 就職を希望する学生数が変化している

一応この2つになるわけだ。昨年と比べて内定率が回復しているとするなら、1)企業が昨年より多くの学生を採用した、2)就職を希望する学生が減った、のどちらかだろう。少なくともこの2つのうち片方の傾向が支配的だってこと。でも、前年比2%なんてのはそもそもが誤差の範囲内だよね。母集団の1%にも満たない標本抽出なんだもの。もちろん就職留年とか進学という要素も無視できない大きさなはずで、この数字から年毎のトレンドを見るのはいかがなものかと思う。じゃ5年とか10年の中期で見たらどうか。これだと確実に2)の学生数が絶対的に減少するはずだからうまくない。てか、なんで率にしたんだろう。1)の採用規模だけ追えば十分なんじゃないの?

そうなんだよね、結局大事なのは何人の学生が新たに働き出したのかってこと。定年したり仕事を辞めてしまったりで労働市場が縮小するなか、どれだけの人間が新たに流入したのか。これが本質的なところではないかと思うわけです。そもそもおかしな話だよ、もの凄い勢いで労働人口が減少してるのに、なんで新卒の内定(しかも率)に気を配る必要があるのだろうか。もちろん日本の企業文化が新卒至上主義なのは理解しているけど、大卒の内定率が100%になったって団塊世代の定年退職による生産力低下は全くもって防げない。ま、生産力っていうか市場に回る金が減っちゃうってことなんだろうけど。だって老人はお金貯めこむんだもの。そりゃ老後の保険は大事だけどさ。

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箪笥貯金とか、やってる老人多そうだよね

内定率をモニタリングしてそれを向上させるように働きかけるくらいなら、もうちょっと他の努力してもいいんじゃないかしら。だって内定しない1割には仕事を選んだ結果の戦略的無内定者とかいるわけでしょ?中小企業は人が足りないって噂をよく耳にするけど、この1割はそこに流れるわけでもない。だとするなら、ワークシェアリングで女性働かせるとかしたほうがよっぽど効率よくないか?新卒なんて110万しかいないんだから働けないのは毎年11万人。対して専業主婦は有配偶の女性人口の45%にあたる1450万人いるらしいから、これを10%減らすだけで300万人以上ですわ。10年くらいかければ全然いけるんじゃないかな。ま、企業が支払う人件費の総和が増大しなきゃ本質的な意味はないのかもしらんが、それでも消費意欲の高い層の割合を相対的に高めることは重要かと。それに僕、そんなにバリバリ働きたくないわけよ。残業のぶんを代わりに女性が働いてくれたら職場も華やかになって最高だね!

てなわけで、ニュースを読んで感じた違和感について考えてみました。最後の方は僕の思いつきを書いてるので読み流してくれればいいんだけど。そういやワークシェアリングって日本語でなんて言うんだろう、雇用分割だとちと変だよね。個人的にはこれやれれば一定の成果はあるんじゃないかなと思っていて、労働組合とか面倒そうだけど導入してもらいたいなと。やっぱ働くのって大事なんじゃん、働いたことないから知らないけどさ。

http://blog.with2.net/link.php?1090012

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