ストライプスーツ着て就活してたら怒鳴られた件



暑いね東京は。連日30℃超えでもはや夏。そういえば夏至も過ぎたし、これから本格的に暑くなって行くんですかね。ところで、この暑さに加え「なにがなんでも節電しなくては!」という風潮が相まって、世間ではクールビズが盛んに叫ばれております。今年に始まったことじゃないんだけど、なにやら就活界隈でも

当日はクールビズでお越しください

なんて選考に関するメールが飛び交ってるんだと。いやはや、企業も配慮しなきゃいけないことが多くて大変ね。僕のバイト先もスーツ禁止令が出ておりまして、なんでもスーツ着てたスタッフに対してお客さんからクレームがついたとか。節電に対する意識が低いんじゃないの?みたいな。クレーム自体は馬鹿らしいと思うけど、働く側からしたらスーツ着用のほうがよっぽど馬鹿らしいので有難い。そもそもなんでスーツなんて着るんだろうか。女性は比較的カジュアルな服装を許されてる気がして羨ましい。着まわしとか苦労も多いみたいだけどね。

やっぱりさ、服装ってのは自分で決めたいじゃない。いろいろ勘案した上でのスーツならありだと思う。ロケーションとか、属する集団の雰囲気とか。でも、それを考えた上で納得のいかない場合ってあるよね。みんな"とりあえず"と思考停止してるパターン。そのくせひとりがラフな服装だととたんに奇異な視線を向ける、みたいな。まあ、就職活動の話なんですけどね。個人的に、真っ白なYシャツ・(情熱アピールの)赤か(冷静さアピールの)青系統ばかりのネクタイ、極めつけはストライプさえ許さない真っ黒なスーツ、あれは酷いと思う。

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その意味で、今回のクールビズってのはちょっと興味があって。上の写真みたいな格好してた人たちは一体どんな格好をするんだろうか。ポロシャツにチノパンとかはまずやらない気がするな。半袖のYシャツにノーネクタイがせいぜいな所でしょうか。学生がお互いに、あるかどうかもわからない就職活動の"正解"を求めた結果が今の現状じゃないかと思うんだよね。自分たちの中で「人事はこう考えるに違いない!きっとそうだ!!」ってなって"仮想人事"みたいなのを作り出しちゃった感じ。彼ら曰く「我慢してスーツを着ることで、企業に馴染む意思があることを示せる!」ってことらしい。

こんなことがありました。ある企業の集団面接。僕はいつものようにバイトで着てたスーツで挑みました。ストライプの入ったやつで派手ではないんだけど、周りがみんな無地だから若干浮いてたのかもしれない。シャツは淡い水色だった気がします。面接自体は何事も無く終了していざ帰ろうとしたときに声をかけられました。

「お前、舐めてんの?そんな格好で面接来られると学生全体が礼儀正しくないみたく思われるじゃん」

は?と一瞬思ったんだけど、どうやら面接で一緒だった野球サークルの男でした。みんな同じスーツで似たような話するから定かではないんだけど、確か明治大学だったような。続けて

「周りの迷惑も考えろよ」

そう言って彼は立ち去っていきました。余程頭に来たんだろうか。他人にここまでの悪意を向けられたことって最近なかったもんだからちょっとビビリました(笑)必死だな、と一笑に付すこともできたんだけど(その場では実際にはそうしたんだが)今思い返してみるとなかなか考察しがいのある言葉だと思ったのでした。例えばね、僕とそいつとで面接の服装についてのゲームをするとします。僕が想定している利得行列は下のようになります。ここでの利得は(自分,野球)となっていて、服装が人事に与える評価値とします。


              野球

         フォーマル  カジュアル

  フォーマル  (-1, 0)  (-1, 0)  

  カジュアル  ( 0, 0)  ( 0, 0)

僕個人として、よっぽどDQNな格好をしない限り服装が与える印象は誤差の範囲だと思っています。そうするとカジュアル(といってもストライプとかのレベルだけど)なスーツしか持ってないし、もともと真っ黒なやつはセンスないとも思ってるので、新たなコストをかけてリクルートスーツを新調するインセンティブは存在しません。結局、相手の出方に関係なくカジュアルが支配戦略です。

一方、件の野球サークル君について考えましょう。彼の利得構造は


              野球

         フォーマル  カジュアル

  フォーマル  ( 1, 1)  (-1,-2)  

  カジュアル  (-2,-1)  (-2,-2)

俄には信じ難いけどきっとこうだったんだろうな。集団面接で誰かが彼曰く"舐めた"格好をしてくると、そいつの印象が悪くなるのは当然として周囲にもその影響が及ぶと。…これじゃ僕、完全に悪者やん(笑)そりゃ怒るわな。結局、彼が捉えている面接というゲームではフォーマルが支配戦略なんですよね。そんでもって(フォーマル,フォーマル)がナッシュ均衡かつパレート最適と。

このような事態は僕と野球君とで"仮想人事"が不一致だから起こる訳で、言うなれば情報の非対称性が問題なのかしらん。むしろ、人事の考えてることなんて個人差があるし完全にはわからないんだから、面接なんて情報不完備なんだってことか。この他にも不確実性は山ほどあるわけで確率的に最適反応戦略を取ることもできない。そもそも今回のようなクールビズ推奨令みたいな事態だって考えられるわけだ。信望してきた"仮想人事"じゃなくて実際の採用担当者が「クールビズで」って仰るわけだし、石橋を叩いて渡る保守的な野球君にしてみればちょっと考え込んでしまうシチュエーションかもね。量販店が売り出してるクールビズは無難だけど、受けに行く企業の社員がどんな格好してるかってのは気になるし。向こうがポロシャツなのに学生がスーツってのも微妙だったり。まあ、彼に内定が出てたら余計なお世話なんですが。

(追記)

世の中何があるかわからないから他人に頼らず自分自信で軸を持ちなさい、ってことか。月並みだな。論点がブレブレになっちゃったけどなんか就活の思い出を書いておきたかったんだよね。こんなこと言っておいて、インフラに入社したら地味なスーツに落ち着くんだんろうな。結局、他人と同じ格好したくない天邪鬼だっただけなんで、特別な思想的背景があるわけでもないんですわ。

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