博士の家計簿的な話

  • mattsu_zaki 2014/10/01 23:58

mugyuuさん博士課程に進路をとられたとのことですが学費とかはどう工面されてるんですか?そこらへんをネタにしたブログ、是非読みたいですw

コメントありがとうございます。とっても大事なお金の話ということで、ちょっと書いてみようと思うのですが、博士課程の場合って結局は学振云々になっちゃう気がするんですよね。で、そうなると世の中にはいっぱい「DC1/2の書類の書き方」みたいなHowToがありますので、その辺とは少し視点を変えて書いていきたいと思います。目論見が成功すればいいんだけど。

  • 博士の懐事情

僕みたいな社会人Dにしてみると、いまいちよく分からないところです。しかし現状、日本では社会人でない(専業の)博士課程在籍者が過半数のはずです。どうやって生活してるんでしょうか。考えられるのは、何らかの奨学金的なものを貰っているか、バイトで稼ぎまくるか、親に生活費出してもらってるか、といったところでしょうか。また、この辺は実家かどうかってのも大きいですね。
そもそも、人ひとりが生きていくにはそれなりにお金かかります。都内だったら大卒初任給で額面20万だとギリギリだって聞きますし。働いてたって苦しいのに、悠長に研究しながらどうやって生活していこうというのでしょうか?

  • とりあえず学振貰えば?

まず考えられるのは、博士課程の方みなさん大好き学振ですね。月20万円の奨励金に150万円以内の研究費。見方によっては500万弱の収入ということになるかもしれません。親とは独立会計ということにすれば、これと別に学費免除も受けられますし、まあやっていけるだけのボリュームでしょうね。実家生だったら万々歳です。
とはいえ、そう簡単にお金がもらえるわけじゃないのがこの制度。業績やら先生のコネやら書類の書き方やら、いろいろな要素が複雑に絡み合っているとかいないとか。それなりの倍率ですし、研究室の優秀な同期も結局DC1には落ちちゃってましたね。最も有名でみんなが目指す、博士課程サバイバルのメインストリームです。いろいろと参考になるHPがありますので、覗いてみてはいかが?博士後期の入試では、研究計画書のつくりかたで参考にしたりしました。実際おんなじことだしね。
学振特別研究員になるために〜知っておくべき10のTips〜
学振取るまで(NAIST 版) - 首都大学東京 自然言語処理研究室
日本学術振興会特別研究員(DC1)申請書・学振 - 吉田光男
road to jsps - 学振とるまで - nao@xrea

みなさん優秀なんでしょうね

  • 学振だめぽ、な場合

大抵の奨学金は学振その他と並行して受け取ることができません。よって、学振に受かる優秀層ががっぽり抜けた後に、給付型の民間・学内奨学金に集まるようです。とは言え、周りで貰ってる人を見たことがない上、金額的にもあまり魅力的ではないものが散見されるような。学生課的なところに行けば資料があるはずですから、自分の大学にどのような募集が来ているかを確かめてみるのが早そうですね。また、殆ど学生ローン的な「日本学生支援機構」もありますが、これは最後の手段としておきたいところです。

  • 周辺で割とメジャーな立ち回り

よく聞くのは、RA/TAでしょうね。しかもGCOEとかのプロジェクトにかこつけて、学振の奨励金相当のお金を付与していたりするようです。しかも、大抵の場合簡単な事務作業やプレゼンが課されるだけの模様。なかなかおいしいですね。ただ、RA/TAって普通はあまり良いお金ではないみたいで、東大工学系の場合月12万円くらいってのが願書だか合格通知だかの資料に挟まってました。
東京大学グローバルCOE
あとは最近よく聞くのがリーディング大学院。実態はよくわからないけど、産学官で連携しながらグローバルに科学施策をリードしていけるような人材を育成しちゃいましょう的なあれです。採択されるプログラムのランクにもよるようですが、東大ほか旧帝国大学系のプログラムの場合やはり学振相当の給付型奨励金が出る模様。ひととおり中を見てもらうとわかるけど、有無を言わさず意識高そう。ガチのやつですね。
東京大学ライフイノベーション・リーディング大学院 - SQUAREほか
また、形式上多少異なりますが、早稲田理工とかの場合は博士後期の学生を助手として採用して面倒を見るという話も聞きます。昨今の大学院重点化の影響などから、必ずしもD1の時点で採用されるわけではないとも聞きますが、学生のうちから教育歴(的なもの)も積めますから良いことずくめじゃん!というのは少し単純すぎるのでしょうか。
博士への長いかもしれない道 2000年度版
いつまでも続けばええやん

小保方さんもあれなのかね、助手か何かだったのかね

  • すんげーイレギュラーな人たち

僕みたいな社会人Dはありふれていまして、普通に給料もらいながら時々大学行って業務の延長で実験とかやりながら頑張っていくんでしょうね。比較的理解のある環境であれば、忙しくはなるけれどもこうやってブログ書く時間は確保できるし、社会人生活の延長で学割とか使えて嬉しいな、くらいかも。なのでここではちょっと変な人たちを紹介してみようと思います。
①ガチ優秀勢
僕の知る限り、同世代で最も優秀な男の一人です。僕と同学年ながら業績がNatureとScienceとPRLで埋まっているという変態です。性癖も割と変態です。今は某研究所で助教だか講師だかをやっていますが、おいおいお前まだ26歳だよなと言ってやりたいところをぐっと抑え、そのうちノーベル賞とるかもしれないから仲良くしておこうと考えたりしています。彼は自宅生でしたし、普通にDC1をとって企業から研究費もらいながら研究ばっかしてました。新聞にも載ってました死ねよ。
②ガチ優秀勢その2
僕の知る限り、同世代で最も優秀な男の一人です。(2回目)こーゆーのに出会えるってのは東大のいいところですね。彼も業績がPRLで埋まっています。僕とはアニメの趣味がよく合います。今は某東大で助教だか講師だかをやっていますが、おいおいお前まだ27歳だよなと言ってやりたいところをぐっと抑え、そのうちノーベル賞とるかもしれないから仲良くしておこうと考えたりしています。(2回目)彼も自宅生でしたが、そもそも1年の2/3はアメリカにいましたし、学振と併用可能という謎の奨学金で月収40万+αという殴ってやりたくなるような金満状態でした。今も某小保方さんで有名な某ユニットリーダーをやるとかやらないとかで、月収に75万くらい上乗せがあるんだってさ死ねよ。(2回目)
③ガチ優秀勢その3
僕の知る限り、同世代で最もユニークな男の一人です。中学の時にコンクール優勝経験もあるガチ音楽家ですが、なぜか藝大に行くのを辞めて浪人しつつ東大に入学。その後も音楽を続けつつ謎のアルバイト掛け持ちで社会経験ばかり積み上げて今に至ります。現在の収入源はスタジオミュージシャンスマホアプリ開発で、家には気持ちの悪い爬虫類を飼っています。イグアナに生きたネズミ食わせるってあんた…

しかもアルビノだとか

  • 凡人として

えーっと、最後の3つを読んでいただけばわかりますが、まあ普通に考えると学振取るか、ほかの奨学金とるか、あとはまああ各々どうにかしなさいって感じですね。社会人Dは生活安定するけどプライベートは崩壊しがちってよく聞くし、やっぱりM1の頃から戦略的にしっかりと業績積み上げて学振狙っていくのが本道なのかな。ただ、学振自体もっと高くていいはずだし(普通に院卒で就職すればもっともらえますからね)、もっと言うと学振がこの金額だから他のも20万円以下に揃っちゃうんだと思うんですよね。月並みな主張だけど、やっぱ科学の発展にはもう少し若い研究者への投資が必要なんだと思いますよ!今回ノーベル物理学賞を受賞された3名の当時の懐事情は興味があるところですが、今後も継続的にイノベーションを起こせる日本人が生まれてくれることを願うばかりです。

次回の日本人科学者は誰になるんでしょうか

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