就職活動における推薦の威力



  • ろん 2011/08/18 23:15

こんにちは、初めまして現在学部3年生のロンです。

質問なのですが、東大の大学院(工学)は学校推薦や教授推薦がほとんどなのでしょうか?また、他大からの進学のひとでも推薦を得やすいでしょうか?できれば、東大院での推薦システムについて教えて欲しいです。

少し前に頂いた質問に対する回答です。コメント欄で簡単に述べた内容に少し付け足したものを記事でアップさせていただきます。まず、就活での推薦ってなんなんでしょうか。ぐぐるといろいろ出てくるのですが、比較的上位に福井大学のページがヒットするのでその記述を引用します。


大学推薦というのは,推薦依頼が来た企業に対して進路担当教授が学生を推薦するというやり方です.(中略)大学推薦では,企業は大学を信頼し,学生の身元を信用するので,一旦採用を内定した場合,内定を取消すことはありません.他方,学生からの受験や内定の辞退も認められません.大学推薦は相互信頼の上に成り立つものです.

http://mech.u-fukui.ac.jp/work7.htmlより


大学受験でも推薦入試というのがありますが、学生の「身元」を保証することで企業・学生ともに安定した就職を促進する仕組みのようですね。一般的にこの身元を保証してくれるオーソリティは学部・学科・専攻などですが、なかには研究室(=教授)に対してこの推薦枠が割り当てられることもあります。前者を「学校推薦」後者を「教授推薦」と呼びます。ロンさんの質問にもこの単語が出てきますね。それぞれの特徴としては

  • 歴史のある専攻→専攻単位の推薦が充実
  • 有力だったり共同研究の多い研究室→教授推薦(制度化されているかは微妙)が充実

というようなものがあります。工学系研究科の中でも特に機電系の専攻は学校推薦が充実していますし、東大には力のある先生が多いので教授推薦も多く見られます。このようにあたかも「お買い得」な推薦ですが、やはり弱点と言うか万能ではない点も多々あります。具体的には以下のようなところですね。

  1. 推薦状=受験票、程度の意味しか持たない企業も多い
  2. ジョブマッチング方式の浸透によりそもそも推薦状を取れないこともある
  3. 辞退されないように後付けで推薦状を要求する企業も多い

1については先ほどの福井大学のサイトにも記述がありますし、2chにもこの様なランキングが存在します。ちなみに2のジョブマッチング方式と言うのは「学校推薦を受ける前に学生のやりたい仕事と部署の仕事が合致しているかを調べるための、言わば事前面接です。推薦状を取得できてもJM不合格の場合は入社できず、また、JMに合格しても推薦状を取得出来なければ入社できません。」だそうです。


あまり落ちない 内定率 80% 〜
IHI JFEスチール 伊藤忠テクノサイエンス 川崎重工業 キヤノン 京セラ 三洋電機 新日本製鐵 ダイハツ工業 トヨタ車体 パイオニア ファナック 富士電機 三菱自動車工業

微妙に落ちる 内定率 65% 〜 80%
NTTデータ アイシン精機 シャープ ジヤトコ 豊田自動織機 スズキ マツダ リコー 東芝★ ビクター 日立建機 富士重工業 松下電工 三菱電機 大日本スクリーン製造

半分は落ちる 内定率 40% 〜 65%
NEC★ アイシンAW カシオ計算機 関西電力 神戸製鋼 セイコーエプソン 大日本印刷 東京電力 東レ 凸版印刷 ニコン 富士通★ 本田技研工業 三菱重工業★ ヤマハ トヨタ自動車 デンソー ヤマハ発動機 三菱化学 三井化学 住友化学

大抵落ちる 内定率 20% 〜 40%
NTT東日本 NTT持株 旭硝子 オムロン オリンパス コニカミノルタ 日立製作所★ ブリヂストン 村田製作所

誰でも落ちる(推薦状=単なる受験票) 内定率 〜 20%
新日鉄ソリューションズ パナソニック★ 信越化学 富士写真フィルム 富士ゼロックス ルネサステクノロジ

★はジョブマッチング方式(以下、JM。)を採用

http://2chreport.net/com_rank_rk_quick.htmより

見ての通り推薦=内定ではない企業も数多く存在していますね。最後に3の後付け推薦です。こちらについては先輩が某重工の最終面接で「最終は意志確認ですので推薦状を持参してもらいます。推薦状を書いてもらった時点で折り返しご連絡をお待ちしております」みたいなことを言われたそうですよ。前の大学でお世話になった先生も「昔はこんなひどいことまかり通らなかったんだけど」なんて言いながらM2の人の推薦状を書いてました。実感としては結構多いのかなといったところです。

さてさて。ここまで推薦に関する現状を書いてきたのですが、実際に東大の工学系研究科ではどのような状況なのでしょうか。全学的な統計は存在しませんので、あくまで僕の周辺+αくらいのノリであることをご理解ください。

  • 学校推薦

この方式は思いのほか少ないです。僕のような自由応募ばかりしてきた人間の言うことですから偏りがあると思いますが、専攻単位で推薦がくる企業は大したことがなかったり、または自由応募でも内定できるレベルだったりします。東大の院生で内定できない企業なんてないと思っていいので、わざわざ自由度を対価に推薦に頼る意味がないのです。ですから枠は常に余りまくりで他大生でも余裕で推薦が取れます。ただし推薦状=受験票のところも多く、内定に直結する可能性は比較的低いようです。この方式はサクッと就活を終わらせたい人が多かった気がしますね。

ちなみに、僕の知る限りNTTデータは東大生の枠を毎年fixしているようで、自由応募では大抵落とされてしまう模様です。推薦で十分な人数が確保できているということなのでしょうが、第二募集以降でESを提出した友達はみんな落ちていました。このような類の企業の場合学校推薦のみが内定への入り口になっているので、そのへんは情報を集めておく必要がありますね。

  • 教授推薦

これも数ケース見てきました。実際凄まじい威力で、電話一本と面接一回で本当に決まります。大抵の場合研究分野に直結した企業の研究所などが対象になっています。僕の知る限り2パターンあって、(a)毎年研究室に枠が割り当てられているケース (b)学生を強引にぶち込む特殊なケース、というものです。(a)の場合、ある飲料メーカーのR&Dは東大3人、京大2人、早稲田2人…というようにガチガチに決まっていたりするようですよ。(b)は「見込みがあるから是非!」の場合もあれば「就活が決まらない…」というネガティブなものまで様々ですね。

運動会枠。みんながみんな使ってる訳じゃないけど、ウォリアーズとか凄いです。商社とか銀行とかいろいろね。あと運動会の主将メーリスにも有名な企業からのオファーが流れたりするみたい。某総研からのメールの文面は「就職活動を終了することを条件に内定を…」というものでした。これは推薦とはちょっと違うけど、一番印象に残ってる内定の取り方ですね。派手だし。

またリクルーターも推薦みたいなもんなのかなぁ。学歴でフィルタリングしてる点では似通っていて、ゼネコンの開発職などは早慶以下の大学から取る気がさらさらない(説明会はやるけどその時点で面接が始まっていたりする)というようなこともあります。ロンダだろうとなんだろうと、東大生であればリクルーターがつかないことはないのでうまく活用できると良いですね。


やたらと長くなりましたが結論です。学校推薦なら外部でも余裕です。また教授推薦はちゃんと研究してないと無理ですが条件は内部も同じです。そして、東大ではこれらの推薦に頼る学生は少数です。穿った見方をすれば、やはり受験戦争の頂点に立つ東大生ですから競争好きなのかもしれないですね。

体育会枠は別にしても、リクルーターはロンダでも全然平気です。むしろ、このような制度を敷いている企業は東大生の人数を稼ぎたい(=普通にやってたら人が集まらない)ようなところなので、内部生がほとんどいなかったりします。ゼネコンなどはその典型でした。もちろんJR東海などのような内部生からも大人気な企業もありますが。

以上、推薦に関する質問への回答でした。

就職活動における推薦の威力(2016年ver)
↑こんなん書いたよ!

http://blog.with2.net/link.php?1090012

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